和歌山 清浄の道
紀伊・熊野・那智・高野
紀伊は「木の国」。海に近いが山国である。三六○○峯の山々と渓谷の間を縫って神と仏の聖地への道はつづく。伊勢路と紀路、大峯道である。紀路は「大辺路(おおへち)・小辺路(こへち)」とよばれた。辺路は辺土(へど)と同じく人里離れた辺鄙(へんび)な地をいう。紀伊の辺路は、峯高く道険しい難路である。大辺路は、田辺から熊野まで、おおむね海岸線に沿って紀伊半島をまわる道。小辺路は、熊野と高野をほぼ直線に結ぶ峠を三つ越える山間の道。大峯道は、熊野三山と吉野を結ぶ修験根本道場である。大峯奥駈(おおみねおくがけ)の厳しい修行によって、六根を清浄する。それは、見えざる神仏との邂逅(かいこう)の道である。