
会長挨拶
2025年7月27日
神仏霊場会 会長
北野天満宮 宮司:橘 重十九
我が国の信仰の歴史を顧みますと、仏教伝来以来、およそ1500年間に亘って、続いた神と仏を共に崇拝する神仏習合の信仰が特性であり、現在でも日本人の心の中には、神様と仏様が共存してきました。
古くより、我が国には神社や寺院をはじめ、神や仏が宿る霊地・聖地が数多く鎮座し、そしてそれらの聖地は近畿を中心とする諸国に多く集まり、人々は神仏の霊光を得るため、近畿を中心に神仏霊場巡礼を盛んに行ってきました。
さらに近畿には、我が国の宗廟たる伊勢の神宮や二十二社をはじめとする各神社、南都各宗、天台、真言、修験などの寺院が建立され、その後、浄土門各宗派、禅門各宗派、日蓮宗など鎌倉諸宗派が栄えるに至りました。
日本の信仰の歴史はまさに近畿が起点となり、全国に信仰が広がるとともに、日本人の豊かな信仰心や精神性の礎を築いた地として、その中心的役割を担ってきた「心の故郷」と云えるのであります。
およそ10年間に及ぶ先人の尊い足跡を経て、本会は平成 20 年に創設されました。以来150社を超える加盟社寺の賛同と協力の元、現代を生きる人々に、我が国古来の精神性や宗教観を、神仏霊場巡礼を通して広く教化宣揚し、本来あるべき日本人の豊かな精神性への回帰と、素晴らしい日本の歴史・伝統・文化の再形成を目指していくこと、そして宗教や思想、信条の垣根を超えて、世界の人々の平和と世の安寧に資することを目的に様々な活動を展開しております。
先人たちの想いを継承し、心を一にする加盟社寺の皆様と共に、多くの人々に神仏霊場巡礼の素晴らしさを伝えて参りたく存じますので、引き続き、本会活動に倍旧のご理解とご協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。