摩耶山天上寺(まやさんてんじょうじ) （ 忉利天上寺(とうりてんじょうじ) ）

六甲山系の摩耶（まや）山上にある聖地。大化二年（六四六）に、孝徳天皇の勅願により、古代インドの法道仙人が開創したと伝わる。
本尊の十一面観音は、釈迦が四十二歳のとき衆生済度の悲願を込めて造り、生母・摩耶夫人（まやぶにん）にささげたとされる仏像で、法道仙人が唐を経てわが国に伝え、厄除開運、女人守護の秘仏として金堂に安置した。
金堂の横に、全国でただひとつの摩耶夫人堂がある。極彩色等身大の摩耶夫人像は焼失による修復だが、梁（中国南北朝時代の王朝）の武帝が香木に刻んだとされる像を、空海が唐から持ち帰ったという由来がある。
以来、山号は摩耶夫人にちなんで「仏母（ぶつも）摩耶山」。寺号は摩耶夫人が昇天した忉利天（とうりてん）の名から忉利天上寺（通称・摩耶山天上寺）となった。